ふっと香る瞬間の季節感 -枝豆の香りと“近づく夏の終わり”-
様々な種類の枝豆が店頭に並んでいます。
枝豆は「未成熟な大豆」ということで、野菜と豆類の両方の良いところを持っている優れた食品です。
枝豆にはビタミンCが豊富で、乾燥すると大幅に減ってしまうので、現代は、莢だけが特殊な袋に入っています。
しかし、
枝付き枝豆を無造作に針金で結束しただけの枝豆!が懐かしい~
ところで、マメ科の植物は花や葉や種子の形態がとても特徴的です。
花は5枚の花びらが左右対称になるように配され,蝶の形になるものが多く、バタフライピーは“蝶豆”とも呼ばれています。
種子はいわゆる”まめ”の形。この種子を「豆類」として,多くの種が食用になっています。
マメ科植物の最大の謎は、マメ科植物だけがどうして根粒菌と共生するのか?です。
自然植生の養分循環は非常にうまくできたシステムです。
二つの生き物の関係の解明が進んでいます。
そして、「香り」にも大きな特徴があります。
グリンピース、ソラマメ、枝豆、大豆、豆乳の”妙なにおい“が苦手という方も多いのです。
特有の豆臭さです。
枝豆は、リノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸を含んでいます。
枝豆に含まれる“リポキシゲナーゼ”という酵素が働くと、“ヘキサナール”という低分子アルデヒドに変わります。これがあの匂いの原因のひとつです。
どちらかというと嫌な臭いと感じられる、”しっとりとした油っぽい“においがします。
青葉アルデヒドと呼ばれていて、青葉アルコールとともに野菜にも含まれています。
においは複雑なほど、深さがでるのです。単一成分だけでは得られない相乗作用です。
もちろん森林浴の香りにも深く関係します。
においは、何を考えながら嗅ぐか!与えられた情報などで感じ方が変化するのです。
私にとって枝豆のにおいは、“近づく夏の終わり”を感じさせる香りです。
この複雑さは、私が日常の食生活で口にしているのは「農産物」「食品」「食事」であって、食品成分ではないことにも結び付きます。